どうも、RyeChemです!
今回の記事は企業研究職の高度な専門知識の必要性に関してです。
私は化学メーカーに携わる人間ですので、あくまで化学業界に関しての話になります。
企業が行う研究に関しては、なかなか外部からでは深く知りづらい一面があります。
製品の詳細な内容に関しては守秘義務があるのですが、就活生や学生の皆さんが聞きたいのはそこではないと思います。
漠然とした実験の内容、調査方法、難易度、専門知識の必要性などだと思います。
今回は企業研究職として業務に当たり、本当に高度な専門知識が必要なのか、という点に特化して解説します。
- 研究職志望の方
- 研究職に興味がある方
- 様々な業種を知り、選択肢を広げたい方
結論から言えば、研究職に就き、作業員として実験を行う分には高度な専門知識は必要ありません。
実験自体はそこらの高校生でも、文系の大学生でも問題なく可能です。
なので、研究職を堅苦しく、難度の高い職と思うのは認識が間違っている、と言えます。
勿論、会社や担当テーマにもよる所はありますが、基本的に入社後から身に着けていくスタンスで十分です。
取っ付き難いイメージを払拭するため、より詳細に解説していきます。
Contents
化学業界の実験は基本的に誰でもできる
まず、研究職はチームを動かす立場になるまでは少なくとも作業者として業務を遂行します。
つまり、実験や分析などがメインの業務内容となります。
化学実験は料理と同じ
実験や分析自体は普通の高校生や文系の大学生、誰でも実施可能です。
よく、化学実験は料理に例えられます
レシピが既に世に出回っているので、レシピに従い、試薬を条件・手順通りに入れるだけ。
致命的なミスをしない限りは大体成功して、目的物を取得することができます。
化学科専攻なら分かると思いますが、原理すら予習しない人間でも学生実験で結果を残せるのですから、実験というのはその程度のものなのです。
企業の研究はアカデミックほど高度ではない
第二に、企業の研究というのはアカデミックほど高度ではないんです。
アカデミックは学問の追求というのが目的なのに対し、企業は利益の追求です。
アカデミックの研究は未知の領域に飛び込むことが殆ど。
最近では企業と共同研究する研究室も多いため、コスト面を意識する場合もありますが、企業の研究に比べれば甘いです。
それよりも優先するのはユニークさと高難度課題の攻略でしょう。
一方、企業の研究というのは既存技術の改良が殆どです。
企業の製品開発の第一目標は、如何にコスト面を低減しつつ、顧客の要求を満たす性能の製品を作れるかです。
既存技術の改良であればコスト面、難易度、性能面がある程度易しい地点からスタートできます。
他社との競争が常にある世界ですからスピード感が非常に大切で、高難度に敢えて挑む必要がないのです。
そのため、実験自体も高度なものではなくなります。
手順が簡素で再現性が高い処方が評価される
さらに、アカデミックの研究のようなラボスケールではなく、企業は大量生産する必要があります。
スケールアップに伴い、ラボスケールで見られなかった様々な課題が生じてきます。
例えば、除熱の問題、昇温の速度、撹拌動力、滴下速度など。
このような問題があるので、微妙な変化で製品の品質や収率が悪化しない処方が好ましいとされます。
大量生産に好ましい処方
- 煩雑な操作を避け、簡便な手法であること
- 条件の変化に製品品質・収率が敏感でないこと
- テクニックを必要としないこと
などがあります。
このような背景があるため、ラボ実験においても誰もができる簡単な実験になり易い側面があります。
専門知識を要するのは主にチームを動かす立場になってから
作業者である間は専門知識が全く要らないとは言いませんが、なくても可能です。
そして、専門知識がなくとも仕事の経験とともに積み上げていけば十分です。
学生時代の専攻と入社後の業務が一致することは殆どないので、さして皆状況は変わりません。
チームの推進のためにはある程度の知識が求められる
では、主任(チームリーダー)以上の中間管理職クラス以上ではどうでしょうか。
チームを動かす立場になれば、結果が求められますよね。
効率よくテーマ推進を行うためには、テーマに対して無知では厳しい。
ここで、ようやく専門知識が求められてくるのです。
ただし、入社時からの経験の積み重ねで十分対応可能な範囲でしょう。
でないと、ジョブローテーションなんてしている余裕はなくなってしまいますから。
研究職場出身者は様々な部署に異動しやすい
また、研究職に就いてはみたけど、テーマとの相性が悪く専門知識を覚える気力がない…。
なんて場合は、“研究職から離れる”という選択肢も手ですよね。
大手企業では積極的なジョブローテーションが図られており、異動希望が非常に通りやすいです。
さらに研究職場出身の人材は、開発・知財・品管(品証)等に行っても、経験が非常に活きます。
なので、研究が合わなかったのは残念ですが、得た経験を活かして、次職場で活躍すれば良いのです。
一生研究、というのは総合職採用だと、寧ろあまり見ないケースです。
そういう方はアカデミックの研究のほうが合うのかもしれませんね。
まとめ
- 研究職に就くために、高度な専門知識は必要なし!
- 入社後から経験を経て、身に着けていくのが普通。
- 研究が合わなければ、他職場で存分に研究で得た経験を活かせば良い。